永本建設株式会社
― 企業の取り組み紹介 ―
地域資源の活用から見える循環型経営-永本建設株式会社
平成元年10月に木造住宅設計施行とリフォームの会社として創業した永本建設株式会社。
「安い・早い」が求められる時代の中、あえて地元・広島の木を使い丁寧な手仕事にこだわり続ける家づくりは多くの共感を呼び支持を集めている。「循環しないものは生き残らない」強い信念のもと活動を続ける永本社長の取り組みと今後の展望についてお話を伺った。
SDGsに関する取り組みを始めたきっかけを教えてください。
約20年前に見た元旦の新聞の見開きに衝撃を受けたのがきっかけで環境を意識した活動を始めました。その記事の中で一番感銘を受けたのは「山の荒廃をストップさせ、木の文化を蘇らるためには何をどうしたら良いでしょうか?」の一文です。それから始めたのが植林イベント「廿日市漁民の森づくり活動」です。徐々に地元企業を中心に賛同・共感する人が集まってくれて、今年で17回目となります。
私はこの活動を人の心に木を植える活動だと思っています。循環するものでないと生き残れません。物理的な植林活動以外にも、教育や文化といった目に見えない部分を伝えていくという点でも意味のある活動だと思っています。
地域の資源を活用されているがその思いは?
企業活動において利益はほんの一部分です。利益の中から地域貢献をしようとしてもわずかな効果しか期待できません。そのため原価の部分で地域貢献することが大切です。
串戸保育園の建設で使用した木材はほとんど広島県産です。そのほか業務の発注も地域の業者を中心に依頼をすることで生んだ経済効果は約8億円です。地域で消費するものを地域で生産することで循環型の地域貢献を生み大きな効果をもたらします。
しかし地域で生み出されたものだからと保護されるべきではありません。地域に選ばれるだけのクオリティーを維持するため、技術を伝承していくことが地消地産を実現するには必要です。
これから力を入れていくことや展望を教えてください。
他企業との差別化は企業が生き残るために不可欠です。私たちは経営者の理想に近づいていくことが他社との差別化になっています。例えば何百年の歴史がある宮島の施設の改修工事には技術の継承が必要なため出来る企業は限られますが、私たちはそこを目指しています。機械で出来る作業をあえて手作業で行うことで、技術の伝承を図るとともに、若い人が向上心を持ってものづくりが出来る環境にしているためです。多少のコストアップはありますが、広島の木を使い丁寧な手仕事にこだわる家づくりに共感し、支持してくれるお客様がいます。また、こだわった手仕事がしたいとわざわざ県外から働きにきてくれた若手職人がいます。これからも伝統と技術を絶やさずに次の世代へ残していくことが使命だと考えています。
取材日:2022年8月17日
永本建設株式会社
- 所在地:廿日市市新宮2-14-12
- URL:https://nagamoto-home.com/
- お問い合わせ先:0829-31-6655