有限会社宮島白栄舎

有限会社宮島白栄舎

― 多様な人材が働く企業紹介 ―

世界遺産の島で、誰もが「存在価値」を発揮できる会社をつくる

世界遺産・宮島で60年以上にわたり、旅館やホテルのリネンサプライとクリーニングを担ってきた有限会社宮島白栄舎。三代目となる代表取締役の魚谷啓悟(うおたに けいご)さんは、障害のある方や外国人、高齢者など多様な人材とともに、経営改革と職場づくりを進めてこられました。その取り組みと思いについて、お話を伺いました。

島内完結だからできる即応力。宮島の宿を支えるクリーニング拠点

同社は、島に旅館が増え始めた時代に魚谷さんの祖父が創業。規制が厳しく新たな工場の設置が難しい宮島で、島内に洗濯拠点を持つことが大きな強みです。バックヤードの小さい宿が多いため、毎日回収・配送し、在庫を自ら確認して補充。繁忙期の急な不足にもすぐ駆けつけられる即応力が、島の宿泊業を支えています。
コロナ禍には、宮島唯一のコインランドリー「i laundry」を開設。外国人観光客向けの多言語タッチパネルや、スマートフォンでの遠隔管理を取り入れました。

コインランドリー「i laundry」

湯来町の工場では、廃業する委託先から設備と技術を引き継ぎ、布団やじゅうたんをブラシで一枚ずつ手洗いする丁寧な仕事も続けています。

独自の手洗い方式で、素材のダメージや汚れに合わせて洗剤や薬剤を調整し、清潔に整えています。

「教えてください」から始まった経営改革

魚谷さんは大学卒業後、県外の病院で約10年間、人事や総務などの事務職を経験。約8年前、先代である叔父の急逝を機に経営を引き継ぎました。「クリーニングは素人。従業員にも同業者にも頭を下げて教わりました」と振り返ります。
手書き伝票や手計算の給与を一つずつ改め、シーツの在庫を増やして日曜休みも実現。現場は義弟の中田さんが右腕として支えています。現在は、多様な働き方や特性に応じた評価制度づくりを社会保険労務士とともに進めています。

障害も国籍も「個性」。対話でつながる職場

従業員は約20名。40年近く勤めるフィリピン出身のベテランやその家族、創業時から働く87歳の島民など、多様な人材が活躍しています。昨年、特別支援学校から新卒を採用して手応えを感じた魚谷さんは、自ら就労支援センターを訪問。「一生懸命働く人は障害の有無に関係なく正当に評価し、通常の賃金を払いたい」と伝え、今年新たに複数名を迎えました。

入社1年余りの佐藤さんは「周りのアドバイスで仕事に慣れました。これからは新人さんに教えていきたい」と話し、年上の新人に機械の操作を教える姿も。空調服や水冷服の導入など体調面への配慮もあり、「今まで働いた中で一番働きやすい」という声も聞かれます。「高齢者も外国人も障害者も関係なく、まず対話。調子の波は誰にでもある風邪と同じで、組織として理解することが大切です」と魚谷さんは語ります。

新人でもすぐに業務を理解できるよう、工場内には色分けされた注意書きを掲示。直感的な判断をサポートすることで、誰でも迷わず作業に取り組める環境を整えています。

誰もが「存在価値」を発揮できる会社を、島から

「今いる従業員には働ける限り続けてほしい。障害のある若い人が、親がいなくなっても自立できるのを手助けできる会社にしたい」と魚谷さん。法定雇用率のためではなく、障害者も健常者も外国人も高齢者も、みんなが価値を発揮できる会社を目指します。今後は民泊の清掃事業など、島の中で新たな働く場も広げていく予定です。
小さな島から始まる挑戦が、地域の働き方を少しずつ変えていきそうです。

取材日:2026年8月6日

有限会社宮島白栄舎

  • 代表者名:魚谷 啓悟
  • 事業内容:リネンサプライ、一般クリーニング、布団・じゅうたんクリーニング、染み抜き・色掛け、コインランドリー運営
  • 所在地:本部 広島県廿日市市宮島町155
  • URL:https://m-hakueisha.com/
  • お問い合わせ先:0829-44-0268